人材育成において「褒める」ことは大事だと言われています。ただ、大事だとわかっていても、上手く出来ないな、と感じている方も多いのではないでしょうか。
中でも、よくご相談いただくのは「褒め言葉がワンパターンになってしまう」ということ。そんな方のために、この記事では、褒め言葉のバリエーションの増やし方をご紹介します。
1.褒め言葉のバリエーションを増やす方法
褒め言葉がワンパターンになってしまう一番の原因は「褒め言葉を知らない」ということです。
人は、自分が褒められてきた言葉で、相手を褒めようとします。それは、けっして悪いことではありません。ただ、「自分がかけられたことがある言葉」には、どうしても、数に限界があります。
だからこそ、自分の中にある「褒め言葉」を、意識して増やしていく必要があります。
褒め言葉のバリエーションの増やし方は、いくつかあります。研修などでよくやるのは、「チームメンバーと一緒に褒め言葉を書き出す」というものですね。
褒め言葉について、インターネットで検索したり、本を読んだりしてみるのも、良いかもしれません。SNSなどでも、誰かが誰かを褒めている投稿というのは、たくさんあります。
意識して見てみることで、きっと、ご自身の語彙を増やすことができるでしょう。
2.「相手に響く褒め言葉」の鉄則
とはいえ、褒め言葉のバリエーションが増えたからといって、褒め上手になれるわけではありません。言葉だけ知っていても、誰にどんな場面で使えばよいかわからなければ、使うことができないからです。
そもそも、万人に共通で効果がある、伝わる褒め言葉や言い回しはないと言われています。つまり、相手によって「響く褒め言葉」は違う、ということ。
では、どうやって、相手に響く褒め言葉を探したらよいのでしょうか?
一番簡単な方法は、「どんな時に、どんな言葉で褒められてうれしいかったか」を、直接相手に聞いてしまうことです。
先に書いた通り、人は「自分が褒められてきた言葉で、相手を褒めようとする」ものです。これは、裏を返すと、「自分が褒められてきた言葉で褒められると、褒められたと実感しやすい」ということでもあります。
相手が褒められて嬉しかった場面や、嬉しかった言葉を知ることで、相手の「褒めてほしいポイント」を知ることができます。そして、似たような場面で、本人が褒められ慣れている言葉で褒めると、相手に「褒められている」と実感してもらいやすくなるわけですね。
3.褒めるポイントが見つからないときは
自分は褒めたいと思っているし、褒め言葉も知っている。でも、褒めるポイントが見つからない! そんな時は、どうしたらいいのでしょうか? これは、私自身も、ずっと悩んでいた部分でした。
そんなあなたにお伝えしたいのは、人は、誰でも「褒め言葉とは、こういうものである」という固定観念を持っている、ということです。
例えば、「すごい!」等、人よりも優秀であることを褒める言葉が、褒め言葉である、と考えている方は多いものです。私自身もそうで、失礼を承知で言うと、「あの人は、仕事で他の人より優れている部分がないから、褒めるところがない」と、考えがちでした。
ただ、「褒める」ということを学んで感じたのは、当時の私は、とても視野が狭かったな、ということです。そもそも、自分が価値を感じる範囲での「優秀さ」しか見ていませんでした。また、褒め言葉も、「優秀さ」を褒めるものしか、褒め言葉として認識していなかったのです。
実際には、「ありがとう」のひとことが褒め言葉になる人もいますし、「あなたのしている○○が、とても好きです」という伝え方が、褒め言葉になる人もいます。「褒める」の幅広さを知ることができたことで、褒めることが苦痛ではなくなりましたし、周囲の人のいろんな言葉を、褒め言葉として、受け取ることができるようになりました。
もし、あなたが、「褒めるポイントが見つからない」とお感じになっているのなら、もしかしたら、あなた自身が「褒めるべきポイントはこれ」と自ら決めつけてしまっていて、視野を狭めているのかもしれません。
おわりに
ここまでの内容をまとめると、「褒める」にあたって大事なのは、以下の3つのポイントです。
- 褒め言葉のバリエーションを増やす
- 相手の褒められたいポイント、褒められて嬉しい言葉を探す
- 自分の「褒める」への固定観念を見直す
これが自然と出来るようになると、スムーズに、かつ的確に「褒める」ことができるようになります。
先に書いた通り、「万人に共通で効果がある、伝わる褒め言葉はない」です。だからこそ、こうした努力を続けられる上司や先輩でありたいものですね。
そして、その努力が伝わるからこそ、「褒める」が、一層効果的に、相手に伝わるのだと思います。