目標は立てられる。コツコツ行動もできる。でも、なかなか目標が達成できない……
あなたの職場に、そんな部下・メンバーはいませんか?
もちろん、どんなビジネスも社会の動きに影響を受けますから、不可抗力で目標が達成できないことも、あると思います。
とはいえ、もしその部下が、「毎回」目標を達成できていないのであれば、もしかしたら、目標設定のやり方自体を、見直した方がいいのかもしれません。
この記事では、「いつも目標を達成できない人」が、「目標を達成できる人」になるための見直したい3つの原因と、見直しのポイントをお伝えします。
原因1.目標設定があいまい
目標を達成できない人がやってしまいがちなことで、一番多いのは、「目標を曖昧なままにしている」ということです。
一見明確そうに見える目標でも、本人にとっては、腑に落ちていなかったり、どう行動すればよいかわからなかったりする、ということがあります。行動を思いつけない、ということは、本人にとって、まだ本人が扱える状態の目標ではない、ということです。
以前、私の同僚が、上司に「その目標は、自分にとってあいまいすぎて、どうしていいかわからないので、もっと具体的にかみ砕いて説明してもらえませんか」と伝えているのを見たことがあります。そこから、上司は、目標のひとつ一つを、各メンバーがそれぞれで理解できるよう、より具体的に、明確に説明してくれるようになり、また、メンバーの側も、より理解しようと努力できるようになりました。
こうして、より具体的に説明を頼めれば良いですが、その人にとって、あまりにも提示された目標が大きかったり、曖昧だったりすると、質問することも出来ず、具体的に説明してほしくても、どう頼んでよいかわからないこともあります。また、上司やリーダーは具体的に説明しているつもりでも、メンバーにとっては足りない、ということもあり得ます。
さらに言えば、自分で設定した目標すらも、行動できるほどには明確でなかったりするものです。
だからこそ、もしあなたが上司やリーダーなら、本人にとってより目標を明確化できるよう、定期的にサポートしてあげることで、目標達成の精度が、ぐんと上がります。
もし、あなたが目標設定面談などをする立場なら、その場で一緒に考えてもよいですし、そうでなければ、進捗共有などのタイミングで、確認したり、明確化できるようなコミュニケーションを取っていくと、きっと、そのメンバーは目標に向かって行動するのが速くなるでしょう。
原因2:目標に向かうための計画が間違っている
次によく言われるのは「目標達成のための計画が間違っている」ということです。
目標達成のために何が必要で、誰とコンタクトを取り、どんな準備をして、どう臨むのか。1人で目標を決め、1人で計画を立てると、どうしても自分で知っている範囲の情報で計画を立てようとしてしまいます。
ですが、本人が知っている情報だけでは足りないことも多くあります。例えば、日頃の職務の範囲から外れる人は、どんなに重要な人物だったりキーパーソンだったりしても、考慮に入りにくいものです。
こうした「見落とし」を防ぐには、今、目標を達成するために、何を考え、どんな行動をしているのかを複数の人と共有して、自分にない視点からのフィードバックをもらう必要があります。
あなたからのフィードバックも、もちろん必要ですが、他のメンバーともお互いにフィードバックしあえることが大事です。先にも書いた通り、1人で見ることができる範囲は限られますからね。
そして、部下・メンバーがお互いにフィードバックしあえる関係を作っていくことが、上司・リーダーであるあなたの役割です。
原因3:目標に向かって行動できる状態にない
ここまで、「目標があいまい」「目標に向かうための計画が間違っている」と続きました。これらは、目標達成を学ぶ時に、よく言われることでもあります。
しかし、実は、いつまでも目標を達成できない場合、一番大きな原因は別にあります。
それは、「そもそも、本人が、目標に向かって行動できる状態にない」というものです。
目標達成を考える上で、従来「意欲によらず、目標を達成するにはどうしたらよいか」という視点で、目標や、目標へ向けた行動が語られてきました。こうした方法論も、もちろん大事ですし、有効な場面も多くあります。
ただ、例えば、うつ状態になっている人にこれを強要すると、たとえ行動できたとしても、体調がより悪くなり、長期的に見て、本人にも、ビジネスにもマイナスの影響を及ぼすことになります。
私自身、計画を立てるのが比較的得意だったこともあり、過労やうつ状態がかなり進行してからも、傍目から見て、平常通り仕事が出来てしまっていました。そのため、自分でも気づかず、また周りに気づいてもらうこともできずに、病状を悪化させてしまった経験があります。気持ちによらず行動できてしまうことは、良いことばかりではないのです。
「本人が、今、頑張れる状態なのか」を、しっかり見極め、もし難しいと感じたなら、たとえ本人が提示してきた目標だとしても、見直しを促すことも必要です。
スモールステップであったとしても、がんばれる範囲の目標を、ひとつひとつクリアしていくことで得られることもあります。私の場合は、過労で倒れたあとしばらく、目標は「無理をしないこと」「助けて、手伝って、と伝えること」でした。その期間があったからこそ、同僚との関係を丁寧に見直すことができましたし、今も、元気に仕事をしていられるのだと思います。
おわりに
今回ご紹介した原因と対処法は、目標達成における基本的なことです。
すでにご承知だとは思うのですが、「いつも目標を達成できない人」が、一朝一夕で、魔法のように「目標を達成できる人」になることはありません。だからこそ、上司でありリーダーであるあなたが、どうやって、「目標を達成できる人」になるまで、寄り添って接していけるかということが大事になってきます。
あなたは、その人に、本当に「目標を達成できる人」になって欲しいですか?
本当に部下・メンバーに「目標を達成できる人」になって欲しいのであれば、たとえ長期戦になったとしても、きっと腰を据えて、粘り強く取り組むことができると思います。まずは、部下・メンバーがどうなって欲しいか、そのために、あなたは何をするのか、あなた自身の目標を考えてみてくださいね。