近年、人事関連のサーベイや
アンケート調査を実施する会社が
急速に増えていると感じます。
人事関連のサーベイ、というのは
例えばエンゲージメント調査や
管理職の360度フィードバックのための
社員アンケートなどのことです。
現在は実施していなくても、
「これからやりたいと思っている」
という会社もあることでしょう。
アンケート調査を主体としたサーベイは
実施方法がシンプルで、
職場環境を表す数少ない
「定量的な結果が出るもの」
でもあります。
しかし、だからこそ、
ミスリードにつながったり
社員に不信感を持たれたり……
ということも発生する可能性があります。
そこで今回は、人事分野で、
かつ社内でサーベイ調査を
実施するときに、
気をつけておきたいポイントを
考えていきたいと思います。
Point1:サーベイの結果「だけ」で判断しようとしない
サーベイの第一の目的は
「現状把握」ではないかと思います。
が、一方で、
サーベイで調査できるのは、
シンプルにYes/Noで答えられることや
10段階程度の度合いで
答えられるようなことが多いです。
つまり、サーベイでわかる内容は、
かなり限定的です。
質問の仕方によっても
結果の出方は変わってしますし
そもそも訊くこと自体が
出来ないことも多いと思います。
そのため、
単一のサーベイの結果だけを基に
何かをしようとすると、
非常に限られた情報からの判断となり、
全く的外れの施策を
組み立ててしまう可能性もあります。
本当に職場の現状を
把握したいと思うなら、
社員一人一人に
聞き取り調査をするなど、
複数の調査手法を用いて、
複数の視点から職場を見てみる。
そうしたことも意識する必要があります。
360度評価などは、
評価結果も確かに大事ですが、
実施するだけで
上司から部下へのパワハラの抑止に
なっているケースもあった、
調査が実施されること自体に
意味があったようだ……
という話も聞きますよ。
Point2:サーベイの結果をどう活かすか
考えておきたいことの2つ目は
「結果をどう活かすか」
ということです。
人事関連のサーベイの場合、
結果が思わしくないと、
当事者である社員へ
結果を開示することに
ためらいを覚えるケースも
あるかと思います。
その気持ちは、個人的には
とてもよくわかるのですが、
とはいえ、それが
調査に協力してくれた
社員への誠実な対応なのか?
ということは、
よく考える必要があると思います。
「調査の結果が
あまり良くなかったのではないか」
というのは、
誰より回答者である社員自身が
感じていることも多いものです。
そんな状況で、
フィードバックが
公開されなかったり、
さらには何の対策も
とられなかったりすると、
そもそものサーベイへの信頼度、
人事への信頼度が
低下することになります。
回答している社員は、
本来の仕事に追加で
調査に協力しているわけなので、
その協力に報いることができる形で
調査を活用していきたいものですね。
Point3:コストが見合っているか
3つ目は「コストが見合っているか」です。
これは、現代においては
より大事になってきているな
と感じるポイントです。
なぜかというと、
人事関連のサーベイ業者が
非常に多くなっているからです。
・アンケートだけを実施する会社
・アンケート実施から結果分析まで実施する会社
・アンケート実施、結果分析、フィードバック研修まで実施する会社
等々。
提供範囲も様々ですし、
どんな理論に基づいて
サーベイを実施しているかも様々です。
地域としても、
日本だけ提供のものもあれば、
グローバルで対応可能なものもあります。
ということは、かかるコストも、
自社で対応すべき範囲も様々ということ。
小規模な会社であれば、
無料に近いサービスで
ごく一般的なアンケート調査だけを
実施することでも良いかもしれません。
一方で、大規模で、
かつグローバルで事業所を
展開している会社は、
グローバルで普及している指標を使って、
多言語でサーベイを実施したほうが
良いかもしれないです。
人事担当者は、
当然ながらサーベイ対応だけ
やっているわけではないと思いますから、
必要な範囲をしっかり見定めて、
手間やコストが適正な範囲と
なるような形で
企画していく必要があるかと思います。
おわりに
冒頭に書いた通り、
サーベイ調査は、人事分野で数少ない、
職場環境を定量的に見えるかする手法です。
数字で結果が出るのは
非常にわかりやすいですし、
数字という結果があるからこそ
打てる施策もあると思います。
一方で、数字は数字でしかないです。
サーベイだけでは
捨象されてしまう社員の声や、
拾えない本音もたくさんあります。
「自分たちは、サーベイを通して
何を明らかにしたいのか」
「結果をどのように活用していきたいのか」
「そのためには、
他にどんな方法を用いて
情報を補完する必要があるのか」
サーベイに寄りかかり過ぎず、
職場にしっかり目配りする
意識を常に持ちながら、
結果を活用していきたいですね。
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