「たくさん失敗することで成長につながる」
というお話、きっと誰もが
一度は聞いたことがあると思います。
確かに
「失敗から学んで、次の行動に
その学びを反映させられる人」
の成長が早い傾向にはあると思います。
そのため、中には
「たとえ失敗しそうであっても、
あえて部下の行動を見守って、
そのまま失敗させる」
のがよい、と考えている人も、
少なからずいるようです。
とはいえ、実際に
部下を指導していると、
「絶対に失敗させられない場面」
も多くあるのではないでしょうか。
例えば、失敗することで
大きな損失が出るようなケースや、
命に関わるケース
法律違反が発生するようなケースは、
安易に「失敗から学ばせる」
というわけにはいかないと思います。
今日は、そうした
「失敗させられない場面」で、
上司やリーダーができることについて、
2つご紹介したいと思います。
1.経験する「失敗」のサイズを小さくする
まず検討したい方法は、
「より業務を細分化して、
その中でトライ&エラーをさせる」
というものです。
失敗のサイズを小さくして、
1つ1つの失敗のリスクを
下げるということですね。
例えば、最終ゴールの手前に、
いくつもの
「先に達成べき具体的なゴール」
を設定して、
期間や内容を区切って
担当者に仕事を任せる。
そうすることで、
トライ&エラーの範囲が限定されるので、
大きな失敗につながりにくくなる
効果があります。
失敗した場合も、
上位者が途中で気づき、
フォローをすることが
より容易になるでしょう。
これは私自身の経験ですが、
「目の前のゴール」が曖昧で、
取り得る選択肢が多すぎると、
かえって何をすべきかが
よくわからなくなり、
動けなくなってしまったり、
まったく的外れなことをして
しまったりするんですよね。
「選択肢を限定することで、
担当者の力量にあった
試行錯誤が出来るようになる
ケースもある」
ということは、指導する上で、
意識しておいても
いいかもしれないなと思います。
2.失敗ケースを一緒にシミュレーションする
2つ目の方法は、最初に
「失敗ケースを一緒に
シミュレーションする」
というものです。
これは、
より裁量権の大きな仕事を、
まるごと任せる場合に
有用な方法かと思います。
多くの場合、仕事をする上で
「これが成功」というのは、
なんとなく想定されています。
一方で「これが失敗」というのは、
より曖昧にしか
イメージされていなかったり、
影響度が細かくは
共有されていなかったりするものです。
この「これが失敗」
という基準や、結果、影響を
より明確にすると、
業務に取り組む人は
「失敗を避けるにはどうしたらいいか」
という方向にも、
より強く意識が向くように
なるんですよね。
こうした考え方に
基づいて実施されているのは、
例えば災害対策などの分野です。
実際に被害の大きさを想定して、
会社/地域社会として
取り得る選択肢を洗い出して、
いざというときの行動計画を定めておく。
これは、ひとつひとつの
業務を実施する上でも、
有用なやり方だと思います。
おわりに:失敗を許容できる余裕を持てるか
ここまでご紹介した2つの例
・経験する「失敗」のサイズを小さくする
・失敗ケースを一緒にシミュレーションする
について
「そんなこと、もうわかってるよ」
という方も、
きっといらっしゃったと思います。
どちらも、ごく一般的なものですので……
そんな方に
考えてみていただきたいのが、
「じゃあ、そのわかっていることが、
どうして実現できていないのか」
ということです。
多くの場合、
「時間がないから」
「心の余裕がないから」
という答えが、
思い浮かぶのではないでしょうか。
それもまた、
正しい理由なのだと思います。
実際、ビジネスの現場は
非常に忙しいですからね。
ただ、
「時間がないから」
「心の余裕がないから」
と言いながら、
後回しにしていることで、
これからどんな影響が
出てくるのかを、
考えてみたことがあるでしょうか。
こうした
「失敗できない場面で、
どう失敗しないで学ばせるか」
という視点からの関わりがないまま
育てられた人材が、
大きな失敗をしたり、
たくさんの失敗をしたりして、
業務をより多忙に、
ビジネスをより困難にしていく
可能性は、非常に高いです。
人材育成においては、
その点も踏まえて、
管理職やリーダーが、
自らの行動を選んでいく
必要があるのだと思います。
人事の方も、どうやったら、
管理職の方が
“「失敗させること」を
想定せずに部下を育てた場合に
何が起こるか”
をシミュレーションできるか、
を考えてみると、
今後の管理職・リーダー育成の
ヒントにつながるかもしれません
人材育成は積み重ね。
「今やっていることが、
未来にどうつながるか」
が想像できるかどうか、
が、組織の未来を
作っていくのだと思います。